善良な人 [心の栄養]
善良な人
「最初のクリスマスは野原で羊の番をしていた貧しい羊飼いのためだった、
と天使はこえ高らかにうたった……。目を天にあげると羊かいは はさらめく星をみて喜んだ……」
昆虫記を書いた、昆虫学者ファーブルは、ある日、若い弟子と一緒に にロンドンの並木通りを歩いていました。馬のひづめと車輪の音や商売人の掛け声のにぎわいの中で、この先生は急に弟子の腕をつかんでささやきました。「聞こえませんか、こおろぎの鳴く声が……」弟子は驚いて、この騒音の中で、こおろぎの鳴声なんか聞こえるはずがないと思いました。しかし、先生は静かに草むらに近付き、杖でそっと草をかき分けると弟子に言いました。「あそこ、見てごらん！」なるほど、小さなこおろぎがいました。そして、先生は言いました。「私はこの小さな生き物を愛しています。誰でも興味のあるものには、たとえそれが、ほんのかすかな音であっても敏感です。試してみましましょうか?」と言って、財布から銀貨一枚を取り出し、石畳の道に落としました。ちゃりんというその音に、思わず周りの人は、その音をする方に目を向けました。「分かっただろう| この人たちはお金にのみ興 味があって、騒音の中でもその音を聞き分けられるのです」と……。
皆さんは心の中に響く声を聞き分けるのに敏感になってください。
キリストの誕生日を祝って、神からのかすかな声が聞こえませんか?
「あなたも善良な人になりなさい」と……。
善良な人とは……、
「敵にも善を行う人。誰にもよからぬことをしむけない人。行動す る前にじっくり考える人。怒っているとき言葉を口に出さない人。不 幸な人に助けの手を差し出す人。謝ったとき、『ごめんなさい』と言 える人。愚痴をこぼす人に耳を貸さない人。」 皆さんも善良な人になろうとは思いませんか?
幸福を与える善良 な人に……。
（ドン・ボスコ社「落ち葉」より）
