自制(2) [心の栄養]
1 酒におぼれる労働者は、金持ちにはならない。
小さな事を軽んじる者は、次第に落ちぶれる。
2 酒と女は、聡明な人の思慮を奪い、
娼婦におぼれる者は、
ますます向こう見ずな人間となる。
3 腐敗と蛆虫こそ、彼が受け取る分け前、
歯止めのきかない心は、彼を破滅に導く。
(旧約聖書シラ書19章1-3節)
浅草山谷地区は日雇い労働者が多い。
東京にいるとき、山谷地区へちょくちょく飲みにいった。
夕方4時過ぎに店に入り、7時頃には帰る。
というのは、怖いおっさん達や酔っ払いにからまれたりするからである。
日雇い人の殆どは、簡易旅館宿泊料1日2000~3000円で寝泊まりしている。
僕の行きつけの店は「吉田類の酒場放浪記」でも紹介され
小綺麗で料理も美味しいし値段も安い。
2000円以上使うことは殆ど無い。
この店で酔い潰れる人は殆どいない。
なぜなら、酔っ払って他の客に迷惑を掛けそうだと店主が判断したら
それ以上酒類の提供はせず、精算をして出て行ってもらう。
人にご馳走したりおごって貰うのも禁止。
明日の仕事がある人は気分良くして飲食しているが
「明日からまた仕事探しだよ。今日で今までの仕事場は終わりなんだ」
と不安を口にしながら酒を飲んでいる人もいる。
この酒場に来る労働者は、お金を貯める気はない。
心の中に人には言えない暗く重い過去を抱え込んでいるのだろう。
酒で気を紛らわすこともできない、と分ったら
お金を貯めるようになるのだろうか。