自然から学ぶ

自然から学ぶ

生駒山上の草原に寝そべったまま、手の届く限り違った草の葉を摘んでみた。

数えてみたら、なんと、16種類もあった。

そして、ふと考えた。

自分の回りに散在している大自然の不思議を、

時間をかけて見つめたときからもう何年たったかしら……。

楽しい小鳥のさえずりをなおざりにし、ウォークマンを聞きながら登山する人。

山道の両側に咲いている野の花に目を向けなかったりする人。

去年の12月南部学舎で澄んだ冬空を久しぶりに見つめたとき、

子供のころの驚きがよみがえってきた。

自分の星座を探しながら、

母といっしょに星空の中で自分の名前の最初の文字Sを見つけたときの喜び……。

自然の世界ではすべてが日立たないで、ゆっくりと動く。想像してごらん。

うねうねと流れる川、深い谷間、険しい山……

それらは何万年もかかって出来あがっている。

この大自然のリズムを狂わせようとするのは人間だ。

何もかも早く……早く食べる、早くしゃべる、早く書く、読む、そして早く死ぬ!

花も静かに咲き、果樹も静かに実を結ぶ。

現代ドイツの詩人Novalisはこう書いている。

「ゆっくりと、あわてないで、静かに動きなさい」と。

やはり、成熟と円熟の秘訣はあわてないことにあると思う。

（ドン・ボスコ社「落ち葉」より）

北海道に移住してからは殆ど高速道路は利用しない。

東京にいた頃よりも北海道は無料の高規格道路（無料）が

存在しているが、それもほとんど利用しない。

何故ならば、高速道路にしても高規格道路にしてもひたすら走っているだけで

周囲の景色を観て感激・感動することがないからだ。

一般路を走り、きれいな景観があれば車を停めて風景に酔いしれていたい。

自然美は人工美と違い、奥が深く飽きが来ない。

自然の景観を眺めていると、神様は偉大な芸術家だとつくづく実感する。