私は息子に今年、五坪ほどの地面をやった。


彼はそこにキュウリも、パンジーも朝顔もトウモロコシも滅茶苦茶にうえた。


一日のうち一度はじっとその前でしゃがみ、まだ芽が出てこないかと待っている。


 私は彼がそれによって「育てる」ことの楽しさを学ぶことを期待している。


草花は決して人間を裏切らぬ。


こちらが努力したその分だけのうつくしい花を咲かせてくれる。


それがたのしい。


(心のともしび 遠藤周作 春の花)より