風光明媚な三陸海岸から小高い丘にある小学校の敷地内に建てられた

仮設住宅に訪問した日は、生憎の天気で朝から雨でした。



小学校上級生と下級生の女の子が二人積み木で遊んでいます。

「塀を高くしないと津波がきちゃうよ」

「津波はこっちからくるから、ここを高くしようよ」

「津波が来ても、神棚は高いから大丈夫だよ」

一日中殆ど同じ内容の会話をしながら、積み木を組み立てなおしています。

二人の女の子に、人の形をした積み木がいつも握られていたので

もしかしたら、親が津波にさらわれたのかも知れないと想像しながら眺めていました。

家に帰るときにも、積み木は絶対にばらさないでそのまま置いて帰り

翌日、また同じように遊ぶそうです。

「壊す」「壊れる」というのは二人にとっては「いけない」ことなのでしょう。



我々が帰るときに傘を差し、敬礼をして見送ってくれました。

多分、自衛隊、警察官、消防署員、消防団員が

多くの遺体を見送るときに敬礼をしていたので

「さようなら」「敬礼」をするものだと思ったのかもしれません。

間もなくあの時刻がやってきます。

心から敬礼をして、永遠の安息をお祈りしたいと思います。